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コロナウイルス対応にみる日本のプロジェクトマネジメントの表側

連日のコロナウイルスの動向を見ていると、職業病なのか炎上プロジェクトと対比していろいろ考えてしまう。炎上プロジェクトをマネジメントしているとき、

  • もうちょっと自分で考えてくれないかな
  • できない理由ばかりを並べるのではなく、間違っててもいいから改善に向けての案を出してくれないかな
  • いまさら議事録掘り起こして、過去の経緯を確認する意味ある・・・?
  • ちょっとしたマネジメント側のミスをやり玉にするのはどうかと、、

などなど、いろいろ思うところはあった。推測にはなるが、徹夜で頑張っている国家公務員の人も今、同じことを考えているのではと、、、

コロナウイルスだと少しスケールが大きすぎるので、システム開発に例えてその大変さを記事にしてみることにした。(現場で頑張っている人に、少しでも温かいエールを送ってくれる人が増えれればと。。。)

ちなみに、プロジェクト概要などすべて空想。

<プロジェクト概要>

日本全国の信号機を管理しているシステムが稼働しているデータセンタが、原因不明の爆発で倒壊寸前となった。急遽、新しいシステムを構築する必要になった。

[前提]

  1. 爆発は全くの想定外。DRは検討されていたが、予算がなく進んでいなかった。また、DR構築の際に、一時的に一斉に信号機を止める必要があり、躊躇する意見が多かった。
  2. 古いシステムであり、ドキュメントが全くない。ソフトウェアの言語が特殊で技術者の数が少ない。
  3. 信号機本体での作業が必要な場合は、現地に行く必要がある。
  4. 2か月間は倒壊しないことはわかっている。ただし、それ以降はいつ倒壊するかわからない。
  5. プロジェクトの規模は約1,000人月。

[体制]

・PM(大臣)

異動してきたばかりで、信号機の仕様はよくなかっていない。ITも強くない。

・SE(国家公務員)

協力会社の取りまとめ。PMBOKなどプロジェクトマネジメントに関しての知識、一般的なITの知識などはあるが、専門的なことは協力会社に任せるしかない。

・エースSE(国家公務員/技官)

数少ない、専門性もありプロジェクトマネジメントもできる要員。

・協力会社(検査機関、国立病院)

SEからの指示のもと、システムを構築する。また、全国各地にある信号機本体での作業を行う。システムの特性上、有識者はすぐに増やせない。

・品質管理部門(専門家、報道機関)

やたら人数が多い。手を動かせる人はいない。網羅性、絶対、エビデンス、議事録って言葉が大好き。

☆☆ポイント1☆☆

そもそも2か月で1,000人月なんて無理。初動がいい人なんて、全知全能の神ぐらい。ただ、無理とわかっていながら、やらざるを得ないこともある。まわりの理解が必要。

 

[1ヵ月後]

案の上進捗に遅れが出始める。なんとかテストフェーズに進んだが、開始早々いきなり100件の障害が発生。障害の内訳をみると、

98件は、信号機の動作には影響があるものの、赤信号で止まり続けるため、急な事故にはつながらないレベルのもの。

2件は、全国の信号機が一斉に止まるレベルの障害。仮に発生すると、全国各地で交通事故が発生しかねない。

障害は、内容によっては現地作業、現地検証が必要となる。なお、現地作業の有無は障害の重要度、影響度と依存関係がない

☆☆ポイント2☆☆

プロジェクトマネージャーの力量が試される。期間的にも障害を0件にすることは無理なので、大半のPMは以下を指示すると考えられる。

  • 全国の信号機が一斉に止まるレベルの重要障害の抽出(重障害の発生シナリオを整理して、そこに特化しての検証実施 など
  • 仮に発生した場合の軽減策、ワークアラウンドの構築(警察官の事前配置、交通量が多い場所の事前封鎖 など

『強化テスト/モンキーテストによる障害の抽出→分析→優先度付け→対策』

という王道も考えられるが、時間がないときに絶対にやってはいけない。障害は抽出するのは非常に簡単である。しかし、『分析、優先度付け』となった瞬間に難易度が急上昇する。

イメージ的には、

  • 障害の抽出はITパスポートレベルでのリテラシーでできるが、『分析、優先度付け』は、高度情報処理を持っていてかつ、その分野に何年も精通しているエキスパートでしかできない

である。

本来、重要障害の対応に注力すべきエースSEが、ほとんど生産性のない『分析、優先度付け』に時間を取られ、結果、対応が後手になるという悪循環が生まれてしまう。今回のケースでいうと、障害の特性上『現地作業』も発生するわけで、リソースが無駄に消費されるという、大きな大きなデメリットもある。

ただ残念ながら、理想どおり動けないのが、プロジェクトマネージャーの悩むところ。品質管理部門の存在である。今回のケースで言うと、彼らはたぶん以下のようなことを平気で言ってくると思う。

  • 重障害でない、軽微な障害が発生し、赤信号のままとなった。赤信号を無視して、わたって事故になったらどうするのか?特に子供は、しびれを切らして周りを確認せずにわたることもあるのではないか?その場合の責任はどうするのか?
  • 障害が全量でないのに、『重障害が発生しない』という根拠はどこにあるのか?取りこぼしが無いことのエビデンスを提示してほしい。
  • 私ならそもそも、欧米で実績のあるソリューションでやりますけど、なんでこのアーキテクチャにしたの?
  • IPAの品質指標値と比較した結果、全て上限値を超えているので、品質が悪いと評価さえざるを得ない。それに対する見解は?

などなど。揚げ足をとろうと思ったらキリがないわけで、『そりゃー今となっては間違っているかもしれないが、当時の短い時間で判断したこと』に対して、あとから考えられること言われてもどうしようもないのである。そんな後出しじゃんけんが通用するんだったら、みんな東大に合格できるわけで、、、

品質管理部門は口だけではなく、ガバナンス、監査などを盾にモノ申してくるのも立ちが悪い。こっちが、解釈変えると

  • それは拡大解釈すぎる。経営会議での承認が必要だ。
  • 私たちは責任が取れないので、やるなら勝手にやってくれ。

とか、こんなくだらないことをやっているうちに、エースSEは倒れるし、プロジェクトマネージャーは鬱になってしまうのである。。。

 

[ではどうすべき、どうあるべきなのか]

<<PM、SEの視点>>

かつないほどのスピード感を求められることが多い昨今、専門性がないPM、SEはそろそろ厳しい。従来的な、ジェネラリストを育てる文化、マージンで稼ぐ文化をただすべき。

特に、『横貫して楽して稼ごう』って魂胆があるやつが多すぎる。その源泉は、商社が生んでいると考えている。商社のビジネス『横貫ビジネス』がいろいろな業界にもはびこり、結果口だけ達者な奴が、稼いでしまっている。

昔とは違い、商流はいくらでもある。商社、代理店とか通さずに仕事をするようになれば、当事者意識も生まれ、専門性を身に着けようとする人がでてくるのではないか。。理想論ではありますが・・・( ゚Д゚)( ゚Д゚)

 

<<品質管理部門の視点>>

いい加減大人になってほしいってのが正直なところ。『生産性がないこと』を自覚してもらいたい。。。管理をするんだったら、『ちゃんと管理の方法』を学んでください。

100件の障害を評価するのにも、『比較対象』が無ければ、ただの事実でそれ以上でもそれ以下でもない。IPAの数字とかと比較するのもいいが、意味がないってことをわかってないのがほんとに腹立たしい、悲しい。

例えば、『100円と100ドルと100元』比較する意味ありますか?単位って非常に重要なんです。比較できるように過去実績をいろいろ集め、分析し、仮説を立てて、論理的に『多い少ない』を評価する。論理構成ができないのであれば、それは新しい事象であり、『100』に対して多い、少ないの議論は意味はない。『100』ってのが一人歩きして、別に大して問題ないのに、『100件も障害出ているのは何事だ』っと騒がれて、噂が一人歩きする。

最終的には噂が噂を呼び

  • なぜ別の▲▲プロジェクトをやめて人員を投入しないのか。
  • 来年のボーナスはなくなる
  • 役員陣は退陣だな

といったような根の葉もない話が出てくる。情弱ってこういうことだと思う。

 

<<最後に>>

少しPM/SE視点でも批判的なことを書いてしまったが、それは社会の構造上の問題で致し方ないと思っている。何をしても、失敗する可能性があるのは不変の真理。成功しかないのであったら、炎上プロジェクトはとっくになくなっているはず。

昼夜問わず、家にも帰らず、風呂にも入れず、ウイダー片手に頑張っている人はたくさんいる。そんな人たちのためにも、何かできることはないか考え中(´・ω・`)